PEL〜ポケモン調査隊連盟〜 第八話

「まずいッスよぉ、フランさんっ!!」

慌てた様子のテッカニンが音速の早さで駆け回り、ぼぉっとしていた蕾に向かって声をかけた。

「ふも?」

気の抜けた返事が返ってくる。

「しまった今ネガだったッスか!!」

ネガフォルム状態のチェリムが、布団を巻いた状態のようなふがふが声を続ける。

「ひはへん?ほっほはっへ、はんへひっははひほへははっはほ、ほっはひひっへ。」
「日本晴れ使ってぇーーっ!!」

嘆きの叫びが静かに葉を揺らす。

「ふもー?」

比例した声は相変わらずのもふもふ。



「着いた・・・・・。」
背中にクチートを乗せたオオタチが、息を切らして呟く。

「先輩は休んでて下さい!私は住民の避難を呼び掛けます!!」
PELのユノとカナリアが、<清漏の森>に着いたようだ。

ユノはカナリアから飛び降り、森の奥深くへと駆けていく。

「みぎゃーっっ!!!」
「あ゛っ!!?」
突然の奇声に足を止めるユノ。

バサァッ!!

草の陰からブブブと羽音を鳴らして、蕾を持ち上げて空を切る音速の昆虫。

「あっ、あんた、まだ逃げてねんすか!?もう流石に皆逃げてると思ったっすけど・・・。」
昆虫はユノに焦りを交えた声をぶつけた。

「あ、あなた達、ここの住民ね?」
「え?あんたは?」
「私は、ポケモン調査隊連盟、PELの者よ。あなた達以外に避難していない人とか、見なかった?」
「見てねっすけど・・・・・うぁああ!!?」
「どうしたの!?」
「ライルさんとカタナさんが勧告を聞いてないかも・・・・・。」
「んだとこらぁっっ!!?」
「ちょおっ!?なんすか、暴言っすか!?」
「そいつらどこにいる!?」
「た、多分森の一番奥深く・・・。」
「ちっ・・・!じゃああなた達は逃げ−−」
「駄目だよユノちゃん!」
「先輩・・・!?」
「PELから連絡!もう落ちるって!!」
「はぁ!?まだ時間は・・・」「加速しててもう数秒で着弾するって!!!」
「なっ・・・!?」

キギィィアギキキキキュアアアアッッ!!

聞いたことのない音が空中に轟く。

「まずいっすぅぅぅっっ!!!」





其が落ちゆく時、時の鐘はなる。

課された問は汝が解き、答を見出だせ。

躍る宇宙の果て、出会う筈なき意志と躯、此処に引き合わせた意味など在りはせぬと、我々神は口を揃えて嘘を残すであろう。

しかし尚、汝らの徃く末を見据えるのは、我等が嘘を見破り、汝らが意味を見出だす事を望むからだ。

己が意味を照らせ。

鳴り終えた鐘の先に何を見る?

躍れ。神の手の上で。
躍れ。円い箱の中で。



・・・そう、誰かに言われた言葉を、私達はもう、忘れていた。

To be Countinued.