ポケダン小説 PEL〜ポケモン調査隊連盟〜第四話

「いつもより派手にやったな、ユノ。」
気のせいか、重い足どりで帰路をなぞる途中、コウガ先輩が口を開く。

「こうでもしないとスッキリしないですから。大丈夫、あんな奥で起きた爆発、誰も気付きませんよ。」
スッキリとはしてないが、マシだろうとは思う。
けどそんな心情は置いておく。
スッキリしてないと口にすると、酷くだるくなる為。心理効果だろうか?

「おっ、お帰りーユノちゃん達!!早いね?」

聞き覚えのある声に振り向く。
カナリア先輩だ。
・・・あとフロムもか。

「先輩達も早かったんですね。私達より早く、任務に出てましたけど。」
「うん!弟くんとランデブーだったよぉーっ?」
「ランデブーってなんすか!っつか先輩、俺のことどんな風に見てるんすか!?」
「弟くん!!」
「弟じゃねぇっすし!!」

本当にこの人はフロムをどう見ているんだろう。
ランデブー・・・って、普通は異性関係に使う言葉だ。
この人はフロムの事が好きなのだろうか?
・・・でもそういう風には見えない。

ちなみに私は年頃なので、もちろん恋愛に興味ぐらいはある。
まぁ、他人のだけど。
鈍くはないし、鋭くもない。微笑ましいとも恨めしいとも思わない。

自分の恋愛に関しては知らない。気になる相手もいないし、気になられている気もしない。
そもそも、副長とかコウガ先輩とかフロムぐらいしか、そうそう話さない。

副長はまず容姿でアウト。

コウガ先輩は・・・威圧感しかない。好きと言えば好きだろう。けどやっぱり・・・なんか無理。

フロムはこの通り先客がいるようで。
まぁどちらにせよ、現在はパシリとしてしか見てないが。

「えっへへぇ・・・また一緒に任務行こうねぇ、弟くーん・・・。」

猫撫で声に更に猫撫で声を重ねるかの如く、カナリア先輩が小声で囁く。
その瞳は、とろりと溶けたようだった。
「はい・・・。」
フロムは、何か困ったような表情を浮かべた。
なんとなくフロムの気持ちがわかる気がする。

カナリア先輩は時々・・・なんていうか、可愛い表情を浮かべる。
普段だって可愛いのだが、普段とはとても例えようのない表情を浮かべるのだ。
強いて言うなら、「恋する乙女」の表情。

・・・やっぱりフロムに恋をしているのだろうか?
けれど何故か、そうではないと、頭の中で何かが語りかける。

「ユノちゃぁんっ!!」
「ほわぁっ!!?」
カナリア先輩がいきなり抱き着いてきた。
・・・あぁっもう!変な声出しちゃったし!!

「もーう、駄目だよ?また何か考え込んじゃってさぁー♪女の子は笑顔が一番だよ?」
「はうわわわ・・・。」

誰のせいで考え込んでると思ってるんだ!
とは言え・・・ああぁ、もう、ふかふか!癒しだよ!!可愛いしぃ・・・。
もう玉ねぎのことなんて吹っ飛ぶわ!!最高!!

・・・なんて言ったら引かれるかな。でも嘘はつけない。

・・・もふもふしたい・・・。

「ユノってレズなの?」
「ぶほぉっ!!」
唐突に、空気化していたロリータが衝撃を走らせる。

「違うわっ!!怖いこと 突然言うなっ!!!」
「え・・・違うのか?」
「コウガ先輩ィィ!!?」
真顔で眉間にしわを寄せて、これまた衝撃の発言をする。

「確かにユノ先輩が女っぽい声出す時って、カナリア先輩に抱き着かれた時ぐらいっすね。」
「ちょっ・・・はっ倒すよ!!?」
なんだなんだこの流れ。
まるで本当に私はレズみたいな流れじゃないか。

「ロリータァァ!!!あんたねぇ!!余計なこと言わないでよ!!」
「顔赤いよ。」
「!??!」
もう擬音すら良くわからない。
ていうか本当に自分でも顔が赤いのが良くわかる。てか何故赤い。
え、嘘・・・!?まさか本当にレズ・・・!?って誰が認めるか!!

ピリリリリ!!
ピリリリリ!!

カナリア先輩のポーチから音が鳴る。
なんか知らないけど助かった・・・。

「ポケフォンに受信!?」

「ポケフォン」は、PEL特有の通信機。説明はいつかするとしよう。

「なんかあったんすかね?」
「えっとぉ、ちょっと待って。本部から連絡だ。」
器用にポケフォンを操るカナリア先輩。

「・・・・・・・・・・・・・・は?」
どうやら、どう反応していいかわからない表情を浮かべている。

「どうしたんすか?」

「<清漏の森>に・・・二時間後、隕石が落ちるらしいって・・・・・。」

「「「「・・・・・は?」」」」

To Be Countinued.