「Noise」二話
「やはり可憐じゃのう、フロリアちゃんは。そして美しい。あれでお前さんと同い年とは思えんね。」
「それはそれは」
揶揄されたことに対し、アクセントのないスラーボイスで返事をする。
巫女の舞踏を住人全員で見ながら、俺は内心、「明日の朝飯何にしよう」とか、「良いバトル相手はいないか」とか、Willを文頭に置いた心内作文を制作。宿題はするが授業は受けないのと一緒だ。ちょっと違うか。
俺は十五の頃、メガによって、この清漏の森に招かれた。
そこで出会ったのがコイツ。フロリアだ。
その時コイツは既に、この森のアイドル的存在になっていた。容姿端麗な上、性格も優れていた。
が、普段は気前が良い癖に、嫌なことははっきり嫌と言い、場を混乱させる。
例えば住民に、
「今日は食糧の収穫を手伝ってもらえないかな」などの頼まれ事をされても、
「今日は他の用事があるので、お断りします」と、満面の笑顔で答える。
それならまだ笑い話。
昨日の巫女の舞踏の前準備、
「すまないけど、荷物運ぶの手伝ってくれよ、フロリアちゃん」の発言に対し、
「明日踊るの体力いるので、今日あまり消耗したくないんです。ということで!(満面の笑み)」。
性格悪いぜ、本当に。確かに巫女の舞踏は短時間で終わらないが?
素直さに拍車かかってお世辞が言えないと言うか、ブレーキ知らんと言うか。
しかも何故俺の過去の話をしたか。今でも覚えてるよ。
メガに招かれ、フロリアに出会い頭、
「あ、あだ名はウサギリンゴさんで決まりですね」
と無表情で言われた暁には、冗談だろうがぶっ飛ばしたくなったわ。
しかも出会った当初からやけに俺のことを嫌い、(自他共に公認)やけに俺に刺々しい。これがツンデレでもかなりの地獄だ。
ウサギリンゴと呼ばれ、あからさまに嫌われていた俺の堪忍袋が切れ、バトルを挑んだ時には、なんとも鬼畜の所業を晒した。
バトル開始直後、宿り木の種を地面に多量ばらまき、フットワークを封じられる。
開始序盤、一切攻撃してこず、蝶の舞連発。スピードアップしていき、俺の攻撃が空を切る。
開始中盤、日本晴れ、ソーラービームの黄金コンボ発動。こちらは攻撃する暇もなく、回避に手一杯。
開始終盤、ようやく攻撃出来たと思いきや、火炎弾をエナジーボールで貫かれる。
そして「飽きました」と言い、俺が言葉を発する隙も与えず、超加速で逃走。
性格悪いにも程がある。
俺がそんな消したい思い出に浸っている時、メガが言った。
「そういやお前さんに、手紙が来ておるぞ。」
「は?手紙?誰から?」
「差出人は・・・テラオーガ、と書いておるな。」
「知らねぇな・・・。なんて書いてあんだ?」
「早急に、指定した場所に来て欲しい、だと。地図があるな。」
「んだそりゃ・・・怪しいな。」
「行ってみたらどうじゃ?どうせすることもないんじゃろうて。」
「・・・けっ。まぁ、明日行ってみるさ。」
To Be Countinued.