PEL〜ポケモン調査隊連盟〜 第十ニ話

あの隕石事故から早三日。
仕事は軽いのばかりで調子が乗らず、例の元人間の情報もなんにも入って来ない。

「なんだかなぁ。」

若干溜め息混じりに呟いた。
なんか最近、幸せがどんどん逃げていく気がする。いや、幸せってなんだ?これと言って趣味はないし働き通し。まぁ別にいいけどさ。

「ユノぉ。最近溜め息ばっかだよぉ?たまには息抜きしよーよー。」

と、ピョンピョン跳ねてるのは、サボテンツインテール。なんかあの元人間を思い出す。いやこんな陽気じゃないけど。

「ほっとけ。気分転換にバトルでもするつもりか?私は今頭使いたくないの。」

「えっ、ウソ、病気!?」

「うおぉい。」

誠につらい。いや誠ってどんな意味?
とりあえず、人をマシンかなんかだと思ってるサボテンに手だけでツっこむ。

「とにかく、最近出来たカフェに行きたいんだ〜!」

「はぁ?カフェ?」

どうせ自分が行きたいから誘ってるのだろうが、珍しく気を遣ってるんだ、と思うようにして、会話の続きを促した。

「うん。確か名前はfeelheartsって言ったかなぁ。」

「ふーん。」

それとなく喉が渇いたので、オレンの実ブレンドのコーヒーを煎れ、喉の潤いをはかる。

「んでねー!?なんと言ってもそのカフェの目玉は、シビルドンがメイド服で出迎えてくれる所なんだよ!!」

「ぶほぉあっはっ!!」

ちょっ、待てコラ!なんで漫画みたいに盛大にコーヒー吹かなきゃならないんだ!

「キモッ!!なんだよそのカフェ、変態の集まりなの!!?」

なんか、もう、よくわからなくなって、コーヒーを口からだらだらと零したまま話を進める。

「失礼しちゃうな!そのシビルドンさんは♀なんだよ!?」

「だから何よ!!あの外見の酷さは異常よ!魚ポケでもなかなかあんなに酷いのいないわよ!!?」

「そのシビルドンさんは、とぉっても人気なんだよ!!可愛いって評判なの!!!」

「なにそれ幼女!!?そいつの歳いくつなのよ!!」
「24さい。」

「にじゅうよんさいっっ!!」

頭を抱える。
あぁ、そうか。これはロリータのお茶目な冗談なんだ。
とは思いたかった。
けどその前にロリータに冗談を言われたことがあるか記憶を辿る。いやない。引き出しどころかタンスも見つからない。

「いや、絶対いや。行きたくない、行ったら悪夢見ることになるか−−」

「ユノ先輩ー。デカルディ副長が呼んでるっすよー。」

ドアのノックとフロムの低音ボイスが部屋にこだましないでもないことにキャッホーする。

「おぉっしぃ!!ざまぁみなロリータァ!!私はこれから仕事なのよ!!一人で行ってらっしゃい!!!」

「なんのざまかよくわかんないけどなんでそんなに喜んでんの?」





「お前には、feelheartsという新しく出来たカフェに行ってもらう。」

「なんだと棺桶。」

「んだその態度!?給料減らすぞ!?」

「やめてよ棺桶。」

「態度考えろよ!!」

漫才を楽しんだところで、さっきのサボテンとの問答はいったん忘れて、素朴な疑問を投げ掛ける。

「それはそうと・・・・・最近私、軽い仕事多くないですか?隕石事故以来、まともな仕事がないって言うか・・・・・。」

そう言うと、デカルディ副長は目線を斜め下にやり、それからこちらに近づいてきた。

「あの隕石事故はな、割と大きなニュースとして取り上げられたんだ。」

「はぁ・・・それで?」

「お前とカナリアを、闇ギルドが嗅ぎまわっているらしい。」

「なっ・・・!どうして!?」

「隕石事故の調査任務で、闇ギルドの連中がお前達を目撃したんだろうな。・・・それでだ。お前達をあまり大きな任務に出すと、闇ギルドの連中に襲われる可能性が高い。」

「それで軽い仕事しかさせなかったわけですか。」

「あぁ。相手の素性もわからないんだ。闇ギルドがPELをどこまで知ってるかもわからない。交戦は避けた方がいい。」

「まぁ、それなら現状維持ってことで構わないですけど・・・。」

「いや、話によれば、そのカフェに闇ギルドのメンバーが来た、という情報が流れているんだ。」

「え、危険なんじゃ・・・。」

「心配ない。今回は同行者に、ロリータとエクセルを連れて行ってもらう。」

「はぁ!?指揮官代行を!!?」

「いや、あいつやカリバーンはほとんど仕事がないからな。俺に押し付けているし。」

鬼の形相を浮かべる副長。
そういやこの人デスカーンだから表情が地味に怖い。

「ということで、闇ギルドの件について情報収集してくれ。」

「了解・・・。」

仕方ないから、コーヒーの仇を討ちにいくことにした。
にしてもこのメンバー・・・波乱しか呼ばない気がする。

To Be Countinued.